2015年3月22日日曜日

愛猫が与える脳への影響 ~オキシトシンの効果~



 猫好きの人であれば誰しも体験したことがあるであろう、猫との触れ合いで安心感や幸福感を覚えるあの感覚。
 この時、人間の脳の中で何が起こっているのだろうか。それは「オキシトシン」という脳内物質で説明できそうだ。

1.オキシトシンとは
 オキシトシンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンの一種である。 オキシトシンは、出産時の子宮筋収縮や授乳時の乳汁分泌を促進するホルモンとして知られている。


2.オキシトシンはどんなときに分泌される?
 親と子供が触れ合うことで、親子双方にオキシトシンが分泌される。また 親友や恋人との触れ合いでもオキシトシンは分泌される。
 オキシトシンは飼育しているペットと触れ合うことでも分泌されることが分かっている。人がペットを優しくなでたり、触れたりすることで人と動物双方にオキシトシンが分泌される。
 オキシトシンが分泌されると幸福感が生まれるので、人はまた同じようにペットに優しくでき、
   「接触」⇒「幸福感」⇒「もっと接触したい」
 という好循環が生まれる。

3.オキシトシンの効能
 主なオキシトシンの効果は下記の4点である。
  ①人と人とを結びつける効果
  ②信頼感を高める効果
  ③愛情を深める効果
  ④安心感を生む効果

 さらに、オキシトシンで自閉症が改善するという研究報告もあり、オキシトシンそのものが最近注目を集めている。また、オキシトシンは、健常者の子供の学習能力を高めるとも言われている。
 オキシトシンの増大は、不安を軽減させ、人との接触が怖くなくなり、社交性が増すようになる。このことからオキシトシンは、うつ病や人見知りの治療薬としても期待されている。

4.猫との触れ合いでオキシトシンを分泌するコツ
 猫好きであれば、猫と見つめ合うだけでもオキシトシンが分泌されるだろう。
 より多くのオキシトシンを分泌するには、対象の猫を「愛おしい・可愛い・好き」と強く思うことが重要だ。
その猫の「円い目が好き」、「肉球が好き」、「柔らかい毛が好き」、「仕草が好き」といったように、具体的なイメージを持つことも、より深い愛情を湧き立たせるのに効果的だろう。
 また、猫と触れ合っているときに、自分の脳内が「オキシトシン=幸福をもたらす液体」で満たされていくようなイメージをもつのもよいかもしれない。

 ちなみに、私は寝ている愛猫のおなかに顔をうずめるという方法を採用している。柔らかい毛と筋肉を感じながらオキシトシンにまみれるのだ。


2015年3月18日水曜日

意外と知られていない「"マズローの欲求階層説"の6階層目」

 メディアに出てくる学者や、評論家がよ援用する心理学の理論に「マズローの欲求階層説」がある。
 これはアメリカの心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。

■マズローの欲求階層

 欲求の各階層の説明は以下の通り。

1階層.生理的欲求(Physiological needs)
 生命維持のための食事・睡眠・排泄等の本能的・根源的な欲求。
 極端なまでに生活のあらゆるものを失った人間は、生理的欲求が他のどの欲求よりも最も主要な動機付けとなる。一般的な動物がこのレベルを超えることはほとんどない。しかし、人間にとってこの欲求しか見られないほどの状況は一般的ではないため、通常の健康な人間は即座に次のレベルである安全の欲求が出現する。

2階層.安全の欲求(Safety needs)
 安全性・経済的安定性・良い健康状態の維持・良い暮らしの水準、事故防止、保障の強固さなど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。病気や不慮の事故などに対するセーフティ・ネットなども、これを満たす要因に含まれる。
 この欲求が単純な形ではっきり見られるのは、脅威や危険に対する反応をまったく抑制しない幼児である。
 一般的に健康な大人はこの反応を抑制することを教えられている上に、文化的で幸運な者はこの欲求に関して満足を得ている場合が多いので、真の意味で一般的な大人がこの安全欲求を実際の動機付けとして行動するということはあまりない。

3階層.社会欲求と愛の欲求(Social needs / Love and belonging)
 生理的欲求と安全欲求が十分に満たされると、この欲求が現れる。
 自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚、情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚、かつて飢餓状態に置かれていた時には欲することのなかった愛を求め、今や孤独・追放・拒否・無縁状態であることの痛恨をひどく感じるようになる。
 不適応や重度の病理、孤独感や社会的不安、鬱状態になる原因の最たるものである。

4階層.承認(尊重)の欲求(Esteem)
 自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。尊重のレベルには二つある。
 低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。マズローは、この低い尊重のレベルにとどまり続けることは危険だとしている。
 高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得 ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。
 この欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じる。

5階層.自己実現の欲求(Self-actualization)
 以上4つの欲求がすべて満たされたとしても、人は自分に適していることをしていない限り、すぐに新しい不満が生じて落ち着かなくなってくる。
 自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。すべての行動の動機が、この欲求に帰結されるようになる。
 これら5つの欲求全てを満たした「自己実現者」には、以下の15の特徴が見られる。

 1.現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つ
 2.自己、他者、自然に対する受容
 3.自発性、単純さ、自然さ
 4.課題中心的
 5.プライバシーの欲求からの超越
 6.文化と環境からの独立、能動的人間、自律性
 7.認識が絶えず新鮮である
 8.至高なものに触れる神秘的体験がある
 9.共同社会感情
 10.対人関係において心が広くて深い
 11.民主主義的な性格構造
 12.手段と目的、善悪の判断の区別
 13.哲学的で悪意のないユーモアセンス
 14.創造性
 15.文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越

 これらのうち、最初の4欲求を欠乏欲求(Deficiency-needs)、最後の1つを存在欲求(Being-needs)としてまとめることもある。マズローは、欠乏欲求と存在欲求とを質的に異なるものと考えた。自己実現を果たした人は少なく、さらに自己超越に達する人は極めて少ない。数多くの人が階 段を踏み外し、これまでその人にとって当然と思っていた事が当たり前でなくなるような状況に陥ってしまうとも述べている。 
 また、欠乏欲求を十分に満たした経験のある者は、欠乏欲求に対してある程度耐性を持つようになる。そして、成長欲求実現のため、欠乏欲求が満たされずとも 活動できるようになるという(ex.一部の宗教者や哲学者、慈善活動家など)。
 晩年には、「自己実現の欲求」のさらに高次に「自己超越の欲求」があるとした。この考えが、後のトランスパーソナル心理学の源流ともなる。



■意外と知られていない6階層目

 そして、意外と知られていないが、マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表した。それが、「自己超越」(self-transcendence)の段階である。 自己超越者(transcenders)の特徴は
  • 「在ること」(Being)の世界について、よく知っている
  • 「在ること」(Being)のレベルにおいて生きている
  • 統合された意識を持つ
  • 落ち着いていて、瞑想的な認知をする
  • 深い洞察を得た経験が、今までにある
  • 他者の不幸に罪悪感を抱く
  • 創造的である
  • 謙虚である
  • 聡明である
  • 多視点的な思考ができる
  • 外見は普通である(very normal on the outside)
 マズローによると、このレベルに達している人は人口の2%ほどであり、子供でこの段階に達することは不可能である。 マズローは、自身が超越者だと考えた12人について調査し、この研究を深めた。


2015年3月9日月曜日

川崎中1殺害事件に見る日本の暗部 ~「カワサキ国」と名乗る"在日軍団"~


 川崎中1殺害事件における論点は様々あります。

1.少年法改正

 18歳を子供とみなすのは、現実とずれている。処罰を軽くするのはおかしい、という指摘。
 これについては、国際社会の状況に倣い選挙権が18歳に引き下げられることに伴い、少年法も改正されるでしょう。
 
2.貧困と教育


 まず、事件が起きた地域の環境を知ってもらう為にも、下の地図を見て頂きたいのですが、これは川崎市立富士見中学校付近のGoogleマップで「風俗」と検索した結果です。



 大通りを挟んで、風俗街が広がっています。このような環境も影響してか、この周辺は外国人が多く住んでおり、この付近の公立学校の子供には、ハーフや在日二世が多いと言われています。 また、近くには競馬場があり、パチンコ店も点在しています。この一帯が、性とギャンブルの街であり、貧困を作りやすい環境であることが何となく想像できるかと思います。

 被害者の少年は身の危険にさらされているというシグナルを出していたのに、なぜ周囲は気付けなかったのかという指摘があります。 被害者の家庭は母子家庭であり、子供5人を抱える貧困家庭でした。母親は早朝から夜遅くまで働きに出ており、殆どまともに子供の面倒を見ることができな かったと、自ら語っています。
 また、貧困は加害者側にも影響を与えているのではないかと思います。これは下記3.とも関連するので、後述します。
 貧困家庭は、怠慢によるネグレクトではなく、否が応にもネグレクト状態になってしまいます。この状態では、高確率で子供の心の発達に問題が発生し、学業にも悪影響が出ます。
(被害者の家族が、なぜ生活保護を受けられなかったのか、という別の疑問もある)

 少し前に流行ったピケティ氏が格差の是正として世界共通の資産への課税が必要だと述べているのは有名ですが、同時に貧しい家庭の子供であっても高等教育を受けられる機会を与えるようにすることが重要だとも述べています。
  また、これに関しては、過去の記事「教育の構造的改革 ~問題解決の為のある構想~」で私の考えを書いています。


3.在日外国人と日本社会の不和
 
 2.で記述した貧困とも関係しますが、川崎中1殺害事件において、罪を犯した少年グループにはハーフや在日二世が多くいたことは各種マスコミでは報じられていないません。
  「移民」は必ずしも成功するとは限らないというのは普遍的な事実です。日本にやって来た外国人が日本社会に上手く溶け込めなかったり、まともな職にありつけなかった場合、外国人同士で互いの身を守ろうとコミュニティを作るのが自然な流れであり、ときにそれが日本社会と在日外国人との溝を更に深めてしまうことがあります(親和的なコミュニティも勿論ありますが)。 子供たちも同様に、よく似た境遇の者たちで寄り集まり、不良グループを形成し、街を徘徊します。ネット掲示板がソースなので信憑性に欠けるかもしれませんが、同中学校の元在校生によれば、日本人グループと在日外国人グループで対立が起きることもあったとのことです。

 「移民」が「貧困」になり「暴力」へ向かうという状況は、今欧米諸国で起きている状況を想起させます。欧米においても、貧しい移民や、過去に差別され社会に溶け込めなかった外国人が、ISIL(イスラム国)に参加したり、ISILに触発されてテロを起こしたりしています。
 奇しくも、川崎の事件の犯行グループも自らを「カワサキ国」と名乗っていたそうです。本人たちも、ふざけて名乗っていただけで、大した意図はなかったと思われますが……。
 そもそもISILが厄介なのは、直接の関係者かどうかにかかわらず、社会に「不満」や「不安」を持つ者たちに対して「暴力を行使せよ」「主流社会を破壊せよ」というメッセージを世界中に送っているところにあります。それに対する目に見えるリアクションとしては、ISILに忠誠を誓うテログループが世界中に現れたことが挙げられますが、見えないところでも、小さな不良グループあるいは、一人で悶々と「小さなテロ」を起こそうか起こすまいかと迷っている者たちが無数に存在していると思われます。
 この「小さなテロ」が爆発する土壌が、欧米だけではなく、日本にもあると言えると思います。

■日本における在日外国人に関する報道の歪み
 不思議なことですが、日本のマスコミは在日外国人の犯罪を隠蔽します。成人の在日外国人が犯罪を犯しても、職業や性別のみで名前が報じられなかったり、日本名の通り名で報じられたりします。
 マスコミが在日外国人に牛耳られている等という言説も流布されています。現実的に推測するならば、「差別を助長する」という批判を回避したいマスコミの自己防衛がはたらいているといったところではないでしょうか。
 こうしたマスコミの態度は、移民に関する問題の輪郭をぼかしてしまい、社会課題の解決を阻害しています。マスコミが正しく役割を果たすとしたら、「在日外国人が犯罪を犯した」、「その背景は何か」、「解決策はあるか」といったように事実を正確に、かつ掘り下げて伝えることでしょう。これは全く差別ではありません。
  この事件は、「貧困」と「在日」の概念を抜きにして語ることは出来ません。
  マスコミが今のままならば、在日に対する人々の憎悪が治まることはないでしょう。「感情的な問題」が「理性的な課題」へと変わるには、まだ時間がかかりそうです。



-Ending Music-









2015年2月22日日曜日

トキソプラズマ ~ネコを追うネズミ・ネコが好きなヒト~



今日は猫の日。
ところで突然ですが、猫と関わりの深い寄生性の単細胞生物があります。それが『トキソプラズマ』です。

1.トキソプラズマとは
 世界中で見られる感染症で、世界人口の3分の1が感染していると推測されている。有病率には地域で大きな差がある。ガーナでは92%もありますが、日本では20~30%と推定されています。
 健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度でありますが、重症化した場合には、脳炎や神経系疾患をおこしたり、肺・心臓・肝臓・眼球などに悪影響を及ぼします。予防するためのワクチンは現在ありません。

2.猫とトキソプラズマの関係
  寄生生物の中には、複数の動物の体内を往来しているものが少なくありません。トキソプラズマも複数の動物を経由しますが、その最終目的地が正に「猫」なのです。 トキソプラズマは、猫の体内に入ることで初めて有性生殖を行うことが出来ます。これにより、「オーシスト」と呼ばれる卵のような耐久性の強い形態となり、糞便として外界に排出されます。その糞便をネズミ等が摂食したり、土壌の中に溶け込んで植物や水を汚染することで他の生物の体内に入ります。
 
3.「じゃあ、猫は危険?」「いいえ、まず感染しません!」
  まず、猫と触れるだけで感染するわけではないことは明確です。感染猫がオーシストを排出するのは初感染の際の数週間に限られており、オーシストを排出しているのは猫の1~2%程度に過ぎません。また猫の糞便中のオーシストも成熟するのに数日を要することから、通常の飼い猫であれば飼い主が1~2日毎にトイ レ掃除をしている為、まず感染することはありません。
 飼い猫の場合は、トイレ掃除を怠って糞を長時間放置した時に感染のリスクが発生します。
また、公園の砂場等に放置されている野良猫の糞には注意が必要でしょう。

4.宿主の行動の変化
トキソプラズマが宿主にどのような影響を与えるかは、研究がまだあまり進んでいないようですが、いくつかの研究報告があります。


(1)トキソプラズマに感染したマウスはネコを恐れなくなる。また、猫の尿の匂いに引き寄せられるようになる。
 これはネコを終宿主とするトキソプラズマの巧妙な戦略です。あの『トムとジェリー』もトキソプラズマによって引き起こされたストーリーだろう、と私は思っています…。
 

(2)トキソプラズマの慢性感染によりヒトの行動や人格にも変化が出るとする研究例はかなりあります。
統合失調症や双極性障害にかかりやすくなる
・男性は、リスクを恐れなくなる・集中力散漫・規則破り・危険行為・独断的・反社会的・猜疑的・嫉妬深い・女性にもてない
・女性は、社交的・ふしだら・男性にもてる

 

男性酷いな(笑)。オタク系の男子に猫好きが多いのは、トキソプラズマで説明できるかもしれません。

(3)トキソプラズマが宿主の行動を操作する手段としては、脳内麻薬である「ドーパミン」が使用されているとみられている。宿主が、トキソプラズマにとって都合のよい行動をしたときに、報酬としてドーパミンが与えられる。
 

 寄生生物は、自然界には当たり前のように存在しており、自分より大きな生物の行動をいとも容易くコントロールしています。それは、人間も例外ではないと考えた方が自然です。
 私が猫の柔らかいおなかに顔を埋めるのも、トキソプラズマが引き起こしている行動なのかもしれません。





2015年2月20日金曜日

首相の日教組野次を冷静に分析する


 安倍首相が19日の衆院予算委員会で、民主党の玉木 雄一郎議員の質問中に、唐突に「日教組!」と野次を飛ばし、委員長から注意を受けるシーンがありました。
 質問は西川農水相側が砂糖業界から受けた寄付金を巡る内容であり、玉木議員は日教組の出身ではないので、「意味が分からない」さらには「幼稚だ」、「精神を病んでいる」との批判が集まっています。








■安倍氏の頭の中を分析

 大体、下記のような思考経路だったことが予想できます。

「民主党」 + 「政治献金の話題」 

       ↓



     (連想)

       ↓


 「あれ?企業献金よりも、日教組の民主党への献金の方が問題が大きいのでは?」



そして、反射的に「日教組!日教組!」という野次につながる。
安倍氏の 現在の精神状態は、比較的物事は自分の思い通り進んでいて、自信を深めている状態でしょう。国会も掌握しきっているという感覚である為、マナーをも超越できる訳です。


■日教組と民主党の問題とは? 

民主党と日教組の問題については、下記参照。

中山泰秀『日教組献金事件。これ個人献金制度にして大丈夫???』
 北海道教職員組合(北教祖)が民主党の小林千代美元衆議院議員の陣営に違法な資金提供(1600万円)をしたとされる事件がありました。教職員の個人名を使って献金し、日教組のバックグラウンドがあることをカムフラージュしていた疑いがあるとのこと。

安倍氏の日教組への問題意識は下の動画で雰囲気が分かります。
-安倍晋三、日教組に宣戦布告!(2010年)-



 教育者は政治的に中立であるべき。にもかかわらず、日教組はいわゆる左翼的な独特の思想をもち、その思想に沿う特定の政治家に金銭を渡すことで、社会への影響力を行使しようとしました。これは、子供たちを特定の思想へと洗脳することにも繋がりかねません。
 安倍氏が、このような問題意識を日頃から持っている為、今回の野次のような、「連想の飛躍による発言」が飛び出したと分析できます。問題意識が強いからこそ、熱くなってしまったのでしょう。


■理性的な批判をするならば・・・

 私自身は自民党にも、安倍氏にも中立的な立場です。
  安倍氏が批判されるべきは、政治献金つながりの話題とはいえ、「質問とは直接関係ない野次を飛ばした」という点だけです。確かに、お行儀が悪い。幼稚だという批判は、的確かどうかは分からないが気持ちは分かります。但し、「精神を病んでいる」とまでは言えないでしょう。

 個人的な連想の飛躍から、他者に理解できないことを話してしまうというのは、私を含め誰しもがやってしまいがちなミスです。ロジカルにコミュニケーションをとるということは、案外難しいものなのです。

 今回の件をよく知りもせず、調べもせず批判している方の多くは、個人的な思想やコンプレックス等の理由で、政府、自民党、首相の批判をしたいという欲求を予めもっています。その為、自分の欲求に対して都合が悪い情報には耳と目閉じてしまい、感情的な批判に終始してしまうのです。






2015年2月15日日曜日

アンドロイドと人の心 ~アンドロイドが社会に溶け込むとき~

 先日、初めて科学未来館へ行きました。



 ドームシアター(プラネタリウム)が目的だったので、その他の展示は全くリサーチ無しで行きました。全体を通じて子供向けな雰囲気ですが、大人もそれなりに楽しめます。
 到着して常設展示を見に行くと、ちょうどASIMOのデモンストレーションが始まるところでした。


 不安定そうな二本足の物体がスムーズに歩く様子を子供も大人も面白がっていました。
 長らくASIMO開発は継続されていますが、デモ中の説明も含め、2足歩行の動作制御に偏りすぎている気がします。個人的には、もっとAIを駆使して、自分で外界の現象を認識し、抽象的な指示に対しても、自分で解釈して行動できるという方向に進まないかなと期待しています。クラウドも取り入れられそう。

 大阪大学の石黒教授のアンドロイドも『オトナロイド』として展示されていました。
 他のお客さんは口々に「気持ち悪い」と言っていました。石黒教授によれば、アンドロイドの容姿がヒトに近づくほど、人々は気持ち悪さを覚えるという。
 ヒトに似せた物体である「人形」に不気味さを覚えるのも同じようなことで、「ヒトであってヒトでないもの」に心的な抵抗が生じるのだと思う。
 しかし、アンドロイドがさらに人に近づいていけば、その気持ち悪さが消える瞬間があるはずであり、その瞬間が、ヒトとアンドロイドの境界を考える上で重要なポイントとなる。 





 
 もう一つ考えさせられるのは、このアンドロイドが「インターフェース」の役割を果たしているということです。
 実演の時間では、科学未来館のスタッフが、このアンドロイドを操作し、声を発して、「客いじり」をしたり、アンドロイドの説明をする。この時、このアンドロイドは人と人との間を繋ぐツールとなっているのです。こういう形のスマホだと思ってもいいと思う。スマホと異なるのは、「ヒトの形」をしていることであり、このアンドロイドと相対した時、本物の人と対峙している時と同様の心的現象を相手に引き起こすことができる点にあります。アンドロイドであっても、じっと見つめられると気恥ずかしく感じるものだし、笑顔を向けられるとこちらもつられてしまう。
  このインターフェースは、「ヒトの形」というツールを利用して、相手に何らかの心的現象を引き起こすことができるということです。
 だから、そんなアンドロイドを使って気安く「客いじり」をするのはやめてもらいたい(笑)

 そんなアンドロイドの特性を最大限活用したのが、『テレノイド』です。



 

 「ヒトらしきもの」をツールとしているロボットの他の例としては、ソフトバンクの『Pepper』があります。こちらは、ヒトの姿に似せるのではなく、AIにより「ヒトらしい会話」をすることで相手に「ヒト」を感じさせるものです。 



 ASIMOは動作をヒトに似せようとしているが、それよりも姿や会話によってヒトらしさを感じさせるロボットの方が直接的かつ深く人の心に訴えかけるものがあるので、早く社会に溶け込んでいきそうです。

 個人的には、精巧なセクサロイドができれば、人々の抱える悩みや、多くの社会問題が解決に近づく気がします。この話は長くなりそうなので、またいつか。



- Ending music -





2015年2月11日水曜日

本当はテロと相容れないイスラム教 ~宗教とテロを再考する~

 真っ当なイスラム教徒はテロとイスラム教は関係ないと訴える。
 確かにそうだなと思いつつ、ちゃんと考えたことがなかった為、私なりに整理してみた。
  

テロの根源にあるもの
 テロが起こる条件は、そもそも何だろうか。 大きくは2つあると思う。

1.無政府状態(政府があっても正規軍が脆弱)
2.社会への不満(貧困、不平等、失業、等)


 厳しい現実を直視できないままもがいているうちに、有り余るエネルギーやネガティブな感情をぶつける方法を模索する。そんな時、生き生きとした活動的な同世代の若者と出会う。彼と意気投合し、彼の仲間の元へ連れて行ってもらうと、それがテロリストグループだった。
 大体、そのような流れだろうと思う。



テロを起こすのはイスラム教だけではない

 イスラム教だけが、テロを引き起こしやすい宗教なのだろうかと少々調べてみたが、どうやら違うようだ。イスラム系以外の過激派の例は下記の通り。


カトリック系

プロテスタント系

※イスラムとの和平を説いたガンディーを殺害したのもヒンドゥー過激派



本当はテロと相容れないイスラム教
 聖典コーランの教義を素直に読んでいけば、テロが入り込む余地はないようだ。但し、テロリストに都合よく悪用されやすい記述も確かにある。


イスラム教の神の摂理の下では、誰も正当な理由無くして捕虜になることはない。戦争捕虜は唯一、通常の宣戦布告がなされた戦争や戦闘の場合のみにとらえられ、他の理由や口実の下にはとらえられない。聖コーランは以下の様に述べている。
「正規の戦いで打ち負かした敵に非ざれば、捕虜とするは預言者には相応(ふさわ)しからず。」 (8:68)



「おお、人々よ、あなたがたはまだ戦争の捕虜を扱っている。故に、私はあなたがたに助言する。あなた方が着る服、食べる食物と同様な物を彼らにも与えるように…..。彼らに痛みや苦悩を与えることは決して許されない。」



「戦争が終わったら、捕虜たちは恩恵の行為として、または身代金の支払いにより、 または相互交換交渉によって解放されるべきである。」



 ジハードは大きく2つのカテゴリーに分けることができる。
 第一は偉大なるジハードである。これは罪深い性向を抑制する自分自身の人格に対するジハード、すなわち自己の浄化である。これは最も困難なジハードであり、故に報酬と祝福の観点から見れば最高のカテゴリーのジハードである。
 第二は、小ジハードである。これは剣のジハードである。これは共同参加のジハードであり、ある特定の条件を前提とする。コーランが語っているのは、イスラム教徒を先制攻撃した者に対する戦闘のみであり、これは聖コーランの他の詩にも規定されている。



平和を乱す全ての営みと活動はイスラム教では厳しく非難されている。聖なるコーランには特定の禁止命令が見出せる。
「そして、地上が整えられた後、無秩序を起こしてはならない….」 (7:57;11:86; 29:37)
危害や邪悪は他のいくつかの詩でも非難されており、イスラム教徒はひとえに平和のために力を尽くすように命じられている。



全ての宗教の信者の基本的結束が聖なるコーランで力強く繰り返し強調されている。
「げに信ずる人々、ユダヤ教徒、キリスト教徒、並びにサービア人たち、(注61)そのいずれたるを問わず、アッラーを信じ、最後の審判の目を信じ、善行を積む人々は、主より必ず報奨を賜わらん。而して彼等には、恐ろしきこと悲しきこと起らざるべし。」(2:63)


イスラム教のことがよく分かる良サイトです。




テロの起点は宗教ではない
 テロリストの精神状態はある種の恍惚に包まれていると思われる。悪なる存在(政府、他宗教、他国、等)を打倒する為に命を懸け、安定や幸福とは無縁の人生観をもつ。
 そんな生き方を、銃や火薬だけでなく、宗教で武装する。自分は聖典の長大な歴史の中の一部であり、自分の行動はすべて神や天使の啓示によるもの、即ち聖なるものであると、心から信じることができる。常軌を逸する行為も、教典の解釈の変更により速やかに正当化される。
 テロリストのコーランを開いてみれば、きっと黒く塗りつぶされた箇所が無数にあるに違いない。彼らにとって、都合の悪い箇所が多すぎるからだ。


 人間が爆発的なエネルギーを放出し、常識を超えた行動を起こそうとするとき、宗教は効果的なツールになる。その行動が、創造的なものであれ、破壊的なものであれ。
 「創造」の例としては、ヒッピー時代に禅宗や般若心経に執心していたスティーヴ・ジョブズが有名。



宗教を盾にするテロリストの図

 ※あくまでも「テロリスト」を表現したものであり、アッラーを戯画化したものではありませんので、悪しからず。