ラベル テレビ業界 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル テレビ業界 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014年1月30日木曜日

防御を固める企業とテレビの限界

Yahooニュースで何度も取り上げられているので、一部の人たちから批判を浴びているという噂のドラマ「明日、ママがいない」を見てみました。
ドラマ自体は、子役たちが一生懸命お芝居をしている、平凡で、無害なものでした。施設長の子供たちに対する乱暴な振る舞いも、後々の展開につながる前振りに過ぎないことは容易に想像でき、現段階でそれを批判するのは、自らの想像力の欠如を露呈するようなものだと思いました。
この「問題」というより、単なる「事象」が起きた根底には、企業経営の潮流の変化があると思われます。
マーケティングやイノベーションなどが経営の攻撃とすれば、「CSR」や「コンプライアンス」は防御です。
ここ10年ほどで、国内外で発生したいくつかの問題を教訓に、日本の大企業は社会における企業の在り方を見つめ直し、それまで意識の弱かった「防御」の方を一斉に強化しているのです。
その結果、忙しい経営陣は、常にリスクの小さい方へと、素早く意思決定する傾向が強まりました。社会の目を気にし、批判されないように、ビクビクしながらなんとか事業を継続していこうという訳です。
更にたちの悪いことに、暇を持て余しているクレーマーの団体や個人は、興奮した狂犬のように振舞いつつも、上述のような状況を理解し、スポンサーをつつけば自らの主張が通りやすいことを知っています。そうして、自己効力感に浸るのです。
その一方で、監修の野島氏は過去から物議を醸しそうなテーマを敢えて扱うことで注目を浴びる戦略を採ってきており、当作品もその種のものです。この戦略は、過去には上手く機能したかもしれませんが、全身が粘膜のように敏感になってしまったやわな大企業とお仕事をするには、如何にもミスマッチな戦略です。
大企業に従属的な民放が新たな価値を提示するような番組を創ることは困難です。民放のビジネスモデルが陳腐化したということではないでしょうか。
この件とほぼ時を同じくして、NHKの新会長として登場した籾井氏の批判を恐れない姿勢には、むしろ微かな期待を抱いてしまう。事実、民放よりもNHKの方がイノベーティブな番組や実験的な番組が多いですし。