イスラム国(ISIL)に世界中から若者が集結している今の現象は、
「破滅的な人」、「主流からあぶれた人」、
「暴力執行による有能感を求める人」が集合し、
彼ら自身が各々の自我の障害と向き合っている状況と言える。
この現象は決して止められない。
人類が社会的動物である限り、自我の発達や
自我を社会に適応させることに失敗する人が絶えることはないからだ。
イスラム国を壊滅させても、名前の異なる別の反社会的組織が生まれ、
そこに人々が集合する。
とはいえ放っておけば、組織が益々大きくなり、
核武装をした時点で暴力国家が成立するだろう。
主流世界へのチャレンジが始まり、現在の世界情勢を変更したい
と考えているロシア、中国といった国々が便乗する事態になれば、
いよいよ民主主義、資本主義をポリシーとする主流世界の秩序は
不安定なものになるだろう。
解決方法があるとすれば、彼らのような
自我に障害を抱える者たちの受け入れ口を予め整備し、
コントロールするシステムを構築することだろう。
その一例として、少し大胆な構想を提示してみる。
現実性やモラルは一旦横に置いておくので、悪しからず。
提案「イスラム国と対立するキリスト国(仮)を創設する」
① 「対テロ連合義勇軍」を設立する。
反体制であり、主流と逆行するという意味での「悪」の象徴である
イスラム国と対抗する、 「善なる組織」を作り、
世界から義勇兵を募る。
彼らは最前線で戦い、正規軍は後方支援に回る。
効果:正規軍の人的・経済的消耗を軽減できる。
(戦争の外注委託の事例は現実に、アメリカ軍による民間軍事会社活用や
フランスの外国人部隊に見られる。)
② 俗称を「キリスト国」とする
組織名は分かり易く、また扇情的であった方が、
明確な対立構造を演出できる。
効果:人々の耳目を集め、人も金も集まる。
③ 広く一般からの投資を受け入れる
イスラム国とキリスト国を単純に武力衝突させるだけでなく、
人と金を競合させる。
効果:暴力によって自我の問題を解決しようとする人々の力や金を、
特定の組織に一極集中させないようにする。
④ イスラム国とキリスト国との戦闘を生中継する
放映権収入をスポンサーへの配当や義勇兵への報酬に当てる。
効果:キリスト国が経済的に自立し、継続的な活動となる。
⑤ イスラム国を完全には壊滅させない
イスラム国側の戦力が落ち過ぎないよう、攻撃を調整する。
また、キリスト国の義勇兵を英雄として演出しつつも、
イスラム国側の人物や兵力も紹介する。
イスラム国もある程度魅力的なものとして描き、
人と金の流入を維持する。
効果:暴力を求める人々の行き場がなくなることを防ぐ。
このようにして、自我に問題を抱えた者たちに新たな選択肢を与え、
相互に対立させ、切り離された別世界の中で暴力を消費させつつ、
現状の主流世界は秩序を保ち資本も循環する
サスティナブル(持続可能な)システムだ。
戦争は、望まない人にとっては確かに悪であるが、戦場に行きたくて居ても立っても居られない人もいる。そうした人たちが閉じた世界の中で戦うことは、哲学的に思考したときに、悪だと言い切れるだろうか。